グラナダからバスに乗ってオリーブ畑の中をひたすら走ること、およそ2時間。コルドバに到着。
コルドバといえば、世界遺産メスキータ。Googleで検索すると、
↑こういうのばかり延々とでてくる。
イスラム教のモスクとしてあったものを、イスラム教を追い出した後で、きれいからってことでカトリックの教会に転用されたという特異な歴史を持つところ。
前回、アルハンブラ宮殿で苦い経験をしたぼくは、事前に調べた。
ずばり、予約が必要なのか否か。
ところが、ウェブサイトは見つかりさえしたが、予約方法がわからない。どうやったって現地ガイドを手配するか否かの選択しかできない。これは現地ガイドを雇うためのウェブサイトで本体は別なのか?まさか、田舎過ぎてスペイン語しか対応してないのか、なんてことまで頭をよぎる。
結局、わからないことはわからないのだし、ぼくはコルドバに2泊する予定だったし、明日行けば遅くとも夕方には入れるはずだ、アルハンブラ宮殿だってそうだったじゃないか、と考えた。
翌日、メスキータに昼前に行ってみると、どうやら『予約』というシステムは、少なくとも個人ではないらしかった。
それに、ぼくが思っていたよりもかなりメスキータという建物は大きかった。
あとでちょっと調べてわかったんだけど、このメスキータは2万5千人ほどのイスラム教徒の人たちを収容できるようにつくっていたのだとか。175m×135mの箱なんだから、それは大きいはずだ。そんなに収容できるんならわざわざ予約なんてしなくても、保存のために入場制限なんてしなくても、よっぽど観光客が押し寄せでもしないかぎり余裕で収容できる。
だってそもそもがイスラムのモスクだったわけで、イスラムの教えで『すべての人は神の前で平等である』というのがある。
そのシマシマのアーチの柱のところは礼拝の間だったところなんだけど、誰しも聖地に向かって平等に祈りをささげることができるようにという意味と、その多数の柱によって支えられた空間で “ 無限に連続してゆく祈り” を表現しているんですな。そのための均質な広がりなんですな。一人ひとりが同じ空間で、十分なスペースを使って祈りをささげる。そして、そのささげられ続けている “ 祈り ” 一つ一つもまた平等で無限に連なって行く。
すごく神秘的な感じがするじゃないか。
その後、キリスト教がやってきてリフォームで内装に豪華絢爛な空間をいくつかつくってしまうという、ぽっとでの成金のように美意識の欠片もないことをやってのけてしまい現在の姿になっているのだけど。
だけど、イスラムのシンプルな少し薄暗い空間から歩を進めて行くと、突如、視界に豪華絢爛で光を存分に浴びたカトリックの教会が現れるわけで、それはそれで、良い。
まあ、カトリックの教会が際立ってるだけだけど。
その豪奢な装飾を、少年のように輝いた目で眺めるおじいさんが印象的だった。
たしかに、まず建物内に入ってイスラムに心を揺さぶられ、カトリックの装飾で再び心を揺さぶられ、っていう2度おいしいところだった。